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2009.04/27(Mon)

僕のようになりたい学生さんへ

掲示板の質問への回答です。

 そっか。この質問なら僕が答えるべきですね。
 大学3年生なら、たくさんやるべきことはありますよ。まずは Leechの Meaning & the English Verbあたりから始めるのがいいかな。何の理屈もないすぐに読める本ではあるんだけど、それでも、ある形に対してどれだけ深い語感が結びついているのかが管見できます。Swan のPractical English Usageも、英語を教える際の基礎知識として重宝するでしょう。
 ただ、僕のようになりたかったら(まーなることはお勧めしませんが)、言語理論研究はマストです。ことばにはそれを見るさまざま角度が存在します。私の専門領域であるモンタギュー意味論では、カテゴリーさえフィックスしてしまえば、文構造と意味(真理条件)が自動で出てくるシステムが提案されています。もちろん自然言語の分析として非常に原始的であることは否めませんが、それでも、必要となる手駒は、カテゴリーと関数関係のみ。こうした言語観もあるのです。どの理論でもいい。語法の解説に終始する伝統文法以外の見方があると知り自分のアイデアを解放することがまず必要です。また、理論である以上、どれをとってもそこでは効率性と美しさが追究されています。私が変形生成文法などの理論から学んだのは、効率的な---公理的な---ものの考え方です。
 英語学習者に渡すべきは、滅多に使わない単語の詳しい語法ではありません。基本的な語彙と文の構成法です。そしてその道しるべとして考えているのが「公理的なモノの見方」。「僕」の成分の中で大部分を占めるのはそうした視点だと思います。イメージをもちだして単語を解説するのも広く「公理的な意味派生」を単語に見ることによる効率化を目標としています。また、文のしくみを「4原則」などと言っているのも、それによって文構成の学習が大きく効率化されることを見込むからです。Leech, Swanについて決定的に欠けているのがこの視点です。「どう定義したら、すべてのデータが自然に演繹されるのか」。おそらく僕の本との大きなちがいはそこにあり、僕の読者ならおしなべて「食い足りない」との感想をお持ちになるはずです。「食い足りない」とは、データは満腹だけれど、明確な像を結ばない、ということです。公理的な観点が欠けているから。
 またいち教師として、要求されるのは、もちろん英語に対する深い理解です。普通に読むだけでは足りません。どういった単語の選定が文・文章の意味に大きく影響を与えるのかなど、学生を指導するための宝の山が読書体験です。教壇に立つとき、もっとも支えになるのがこの部分です。ターゲットとなる文の雰囲気を色濃く伝えるのはどういった文なのか。あらゆる局面でそうした例を出せるように心がけています。大学3年生の英語力が文に見いだす意味と、英語教師のそれとは、大きく隔たっています。それを埋める努力をしていただきたいと思います。英文学講読のクラスがあれば、なるべく出てください。それが老練なネイティブによるクラスなら、必ず出てください。1ミリずつ討論し読み進める体験は、たいへん大きな財産になるはずです。
 「僕になりたい」なら、こうしたことを心がけていればすぐになれます。ただ僕は、僕の仕事全体をひっくりかえすような、新しいパラダイムを待っています。新しい効率とわかりやすさを打ち立てる若い、より才能のある方々が英語教育の分野にあらわれるのを心待ちにしているのです。僕は越えられるべき単なる過程です。「僕のようになる」などと考えず、「誰も成し得なかった」仕事を目指してください。


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