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2009.05/28(Thu)

才能のありよう

 原稿書きが一段落すると、僕はいつも---なんでもいい---ペーパーバックに目を通す。どんなものでもいい。初読でなくてもまったくかまわない。まともな、筆力のある著者が書いた現代英語であればそれでいい。

 確認するためだ。自分の書いた解説が、余すところなくネイティブのハートをとらえているか、チェックするためだ。まだ原稿の内容が頭の中でリフレインしているあいだに、それとネイティブの意識を照らし合わせることが何よりも肝心なことなのだ。執筆直後30分。たった数十ページの文の中に例外がでてくるような原稿には、何の価値もないからだ。

 He spoke softly, his rich baritone exuding sympathy and compassion. He almost whispered at first, but the power of his voice made every sound and every syllable clear throughout the room. He looked at the two widows and told of the deep sadness the firm felt, how they would always be taken care of as long as there was the firm. He talked of Mary and Joe, of their first few years with the firm, of their importance to the firm, of the vast voids their deaths created. He spoke of their love for their families, their dedication to their homes,

The man was eloquent. He spoke in prose, with no forethought as to what the next sentence would be.
(The firm, John Grisham)

of だ。told sadness/ told about sadness ではなく told of。talked about ではなく talked of。そしてspoke of。

そうだよ。当然ofなんだここは。of以外使えないんだよ。死んだ社員への葬式スピーチ。aboutなら、参列者はうんざりする。深入りせず、希薄に、かすかに触れては次の話題に移っていく。すべての盛り込むべき内容を短時間に網羅する如才なさ。だからこそ、the man was eloquentの1文が生きてくる。

僕の「of」は、通用しているか。読者にこの希薄な前置詞がもつ、この感触に届かないような説明は浅すぎて意味がない。「ofは分離です」「ofは部分ー全体です」。かわいいもんだよ、そんな「説明」は。

ことばは人間のなかにある巨大な自然だ。そこを磨き続けた蟷螂の斧で開墾する。

毎日弛まず開墾する。
蟷螂の斧しかもたない僕に両親がくれた唯一の才能は、弛まないことだから。

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