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2007.01/14(Sun)

犬も歩けば... (1)


今年の年末からお正月にかけて、大西家のテーマは「2007年クルマの旅」であった。御殿場で富士山を見てから群馬の川場村、軽井沢、東京で1週間。原稿執筆活動から逃避するというまぁ、どちらかというと後ろ向きな企画。ふふふ。だけどね。じつに実のある旅ではあったのだよ。

 正月といえば富士山。常々子供には「ああいう大きな人間になるんだよ」と説教してきた手前、ここだけははずせない。とはいえ、子供はそんなものには興味がないので高速道路から眺めるだけにして、クルマは富士急ハイランドにひたすら向かったのだった。

 思春期の娘をもつ父親は、一様に深い悩みをもつ。愛情の双方向性が失われるからなのだ。父親が娘を見る目線はいつも変わらぬものだ。たとえ中学生になろうが体が巨大になろうが、そのうしろにいつも幼少時の娘を見ている。そう、パパとらぶらぶだった娘の面影を、だ。
 だが娘の方はまったくちがうらしい。大きくて頼りがいのあるやさしいパパの代わりに、なんとなく不潔で臭くて鬱陶しい物体が突然立ち現れたように見えるようだ。パパは毎日2回も風呂にはいっているにもかかわらず、だ。バスクリンを毎回使っているにもかかわらず、だ。
 親子関係に関わらず、愛情表現は双方向なものだ。散歩するとき相手がいやがっていては、こちらも手を握れない。かくしてパパは息子とだけらぶらぶの毎日が続いていたわけであった。

 富士急ハイランドはジェットコースターが有名だが、実はとんでもなく恐ろしいお化け屋敷も存在する。「慈急医院」。建物1棟、廃墟と化した病院内をペンライトで歩く、という実に恐ろしげな場所である。一計を案じた私は、ジェットコースターなぞには脇目もふらず医院に向かう。何も知らない娘は、期待でわくわくしながら付いてくる。へへっ。豊かな人生経験。微に入り細を穿つ綿密な計画。

 予想通り、そこは娘が今まで経験したことのない阿鼻叫喚、恐怖の館。手術服を血だらけにしたバイトの学生が遠吠えをしながら給料以上の働きをする。バイトの鑑。「時給医院」だ。だけどねー、普通男はそんなとこ、1ミリも怖くないんだな、これが。

 血だらけ男が後から迫ってくる。「がぁぁぁぁぁ」。
 「はいはい、おつかれさま」

 包帯患者が暗闇のベットから起きあがって襲ってくる。「べぇぇぇぇ」。
 「たいへんだね、きみも」

間違って昔の墓場の上にテントを張ってしまった夜の方が 100万倍おそろしい。だけどね、へへっ。娘はちがうんだな。必死になって僕の手にしがみついてくる。あまつさえ「パパ、手を絶対離さないでね」

 ふふふふ。2年ぶり。娘よ、こんなに手が大きくなったのか。


「ははは。しばらくぶりだね、手をつないだのは」 ペコちゃんフロートを食べさせながら娘の目をのぞき込む。「またお化け屋敷いくかね?」

「絶対いやだ」

お化け屋敷がいやなのか、手をつないだのがいやなのか。次回は別の手段を編み出さなくてはならないことだけは確かなようだ。




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