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2010.10/04(Mon)

The Drive of Your Life

 勘違いをされることが多いのだが、一般ドライバーにとって車を運転する楽しみは最高速を競うことにあるわけじゃない。ドイツ車のリミッターは250km/hでかかる。おおよそジャンボジェットの離陸速度と同じ。ジャンボで新聞読みながら250km。これっぽっちも楽しくはない。巡航900km/hは、退屈で死にそうだし。高速でスピードを出しても等速直線運動。摩擦をエンジンの出力で相殺するように右足の力を込めています---ただそれだけのことだ。
 車の楽しみは手足の延長線上にある。およそ2トンの車体を自分の器官の一部として操るところにその喜びがある。通勤帯の駅をすり抜ける器用さで、ブレーキを踏み慣性を殺し、体が傾斜角度でいなすように車体をロールさせ、カウンターをあてバランスをとり、14番線京浜東北下りに向けアクセルを全開する。不断の運動が車の運転であり、神経系が皮膚を突き破り後輪のグリップにまで触手を行き渡らせることが、その悦びなのだ。機会があればバスの運転手に尋ねてみるといい。彼(女)の皮膚感覚は後部バンパーまでくまなく覆っているよ。

 そして。

 ドライバーがもっとも恐れるのは---当然---マシンと体感覚の乖離だ。軽自動車から大柄のSUVに乗り換えたばかりで車体がつかめない。何の予兆もなく後輪がブレークする。修正不能のアンダーが突然出る。それでは怖くてガレージから出るわけにはいかないだろう。

 翻って、英文法。アンダーでまくりで前に進まない。後輪がブレークしてスピンモードに入る。車としては致命的なこうした瑕疵も、英文法にとってはたいへん高級な悩みだ。英文法は「動いた試しのないマシン」だからだ。疑問に思うなら考えてみたらいい。学校のなんとか英文法を内在化させて英語を自在操っている人間が身の回りに何人いるかを。「to不定詞には、名詞的用法と形容詞的用法と副詞的用法があって、副詞的用法には主要な使い方が4つあって」---それを逐一内在化させて-ingを使っているネイティブが1人でもいるのかどうかを。誰もそれに乗ってガレージを出たことのないマシン、それが従来の学習英文法なのだと思う。「役に立たない」-----誰もがそれを感じるからこそ、文法は軽視され、踏みにじられ、オーラル全盛で、結果として基本的な約束事も守れない高校生・大学生を量産してきたのではなかったのか。

 ことばの学習には、「文法vs会話練習」などといった深度を欠いた図式は存在しない。あるのは、文法を捨てる前に十分 kaizen の努力を尽くさなかったという事実があるだけなのだ。江川泰一郎先生の「英文法解説」とお手持ちの学習書をじっくりと読み比べてごらん。私が学んだ30年以上前の名著の外側に出ている記述がいかほどあるか。例文を換え、色を加え、イラストを加え、例外と細則を網羅し、当世流行の分析を切り貼りした以上の見識があるのかを確かめてみるといい。

 ランボルギーニカウンタックが出た、70年代初頭から学習英文法は何ひとつ変わっていない。すばらしい文法書は数多くある。だけど、学習者のために組まれたマシンに限れば。僕の知る限り。ワインディングを疾走する高校生を夢みて組まれたマシンはなかったんだよ。




 
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