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2012.01/17(Tue)

いろいろな感想

 息抜きにアマゾンレビューを見てみたらいろんな感想をお寄せいただいていますね。ありがとうございます。まぁ褒められてるんだか、営業妨害されてんのかわかんないレビューもあり、いろんな事情もあるのだろうなとは思います。あはは。ま、そんな事情は僕には関係ないんだけど、ちょっと関係ありそうな感想があったので、簡単な説明をしておきましょう。

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 これまでの大西先生の本はほとんど扱っていない文法事項もありましたが、この本はかなり網羅性が高くて便利です。他の文法書にはまず書かれていない英語の「なぜ」にしっかりと答えるところが大西先生らしく、英語を勉強する人にはどんどん薦めたい本だと思います。ただ、この本が解説している、修飾の原則「前から限定」については納得できない点もあります。たとえば関係詞の制限用法(先行詞がどんなものかを、その「後ろ」の関係詞節が限定する)はこの原則が当てはまっていないような印象を受けますし、『現代英文法講義』(p. 474)には、前に置かれた修飾語が後ろの語の内容を限定していない例も紹介されていますので(Come and meet my beautiful wife.のような例。「美しい妻」以外に「美しくない妻」がいるわけではない)、どのように理解したらいいのか悩んでしまいます。単に私が誤読しているだけかもしれませんが、このあたりのことを納得しやすくしていただけるともっと良かったと思います。
                          (Learner[さん]「一億人の英文法」アマゾンレビュー)
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[短い答え]
 こうした疑問は学校文法の不用意な説明に起因していることですから、僕は説明の責を負っていません。学校文法に「それでは英語の配列は、前から限定を行ったり後ろから制限(限定)を行ったり、あるいは前に置いても限定しないことがあったりするのですね。そこにいったいどのような法則性があるのですか。英語の語順には法則性がないのですか」と、問い質せばよいだけのことです。私にではなく、学校文法関係者へ訊いてあげてください。

 とはいっても、「どんどん薦めて」いただけるようなので、ちょっとだけ説明しておこうかな。はは。

[長い答え]
 学校文法では「限定」という語句が不用意に使われているため、「前」「後」という位置についての洞察が得られないのです。「一億人の英文法」では「前は限定」・「後は説明」と、修飾位置とその果たす役割を明確に区別しています。

 まず、「関係詞節の制限用法」についてお話ししましょう。もちろんこれは「後ろから説明」の明確な例の1つです。

a. My wife who lives in Kyoto gave me a phone call.
b. My wife, who lives in Kyoto, gave me a phone call.
(今手元に文献がないので、わかり次第正確に引用しますね)

aは穏当な発言とは言えません。というのは「京都にいる妻」と他にも妻がいることを含意するから。これを学校文法では「指示物を制限・限定する」という意味で、「制限用法」と呼んでいます。ところで、この「指示物の制限」は「説明」修飾が行われる典型的なケースです。
 「説明」は、「人・モノや事態を正確に伝えよう」とする心の動きとつながっています。a guyでは十分ではない・どの人を指しているのかわからない、だから a guy from Mexicoと修飾語を付け加え絞り込む(narrow downする)のです。a trip と言っても不十分。だから a trip to Japanと付け加える、当たり前のことですね。こうした「説明」のあり方に照らせば、a の制限用法は(用法名など作らずとも)容易に理解することができます。「my wifeだけなら説明は足りないな」という意識が who lives in Kyoto を呼び込んでいるのです。このことは当然「説明しなくてはならないなら、その他にも可能性があるはずだ」につながるのですよ。そう、「説明」は---別の見方をすると---「制限」につながっているのです。
 次のペア、みなさんはどちらが自然な英文に感じますか?

c. The boy playing soccer is Tom.
d. The girl playing soccer is Mary.

どちらも話し手は「the boy, the girlだけでは足りないな」と考えその説明としてplaying soccerを加えているのですが、自然なのはdのみ。cの文は自然に使われるべき文脈が見あたりません。サッカーをやっているシーンでは普通、「サッカーをやっている男の子」はたくさんいます。playing soccerをつけてもどの子かを「制限する」役には立たないんですよ。一方dについては「男の子に混ざって女の子が1人プレーしている状況」を想像すれば、十分説明として機能していることがわかるでしょう。
 後ろから修飾の典型的ケース---「制限」を、私は特に「限定・制限」などとは呼びません。「説明したい」という動機と結びつけた方が遙かに容易に理解でき、且つ、名詞以外の後置修飾にも幅広く適用することができるからです。さらにネイティブの中に「前の名詞句を制限したいから関係詞修飾するのだ」と明確な意識をもっている人間がどれくらいいるのでしょうか。「言い足りないから説明だ」---それがネイティブの単純な意識なのです。さて、私が「限定・制限」と呼ばないのにはもう一つ重要な理由があります。
 「説明したい」---後ろからの修飾のもつ単純な意図を、学校文法のように、「制限・限定」という「用法・用語」に置き換えると何が起こるのか。そこにLearnerさんが迷い込んだ森があります。それは「前」から行われる修飾への誤解です。後ろからの修飾に「制限・限定」と使った途端、前からの「限定」と混ざるのです。前からの修飾は「限定」ではありますが、それは後ろからの「限定」と意味合いが全く異なります。「一億人の英文法」でもしつこく説明したのですが、それは「種類」の限定です。指示物をnarrow downするのではなく「どういった種類の(What kind?)」という限定です。

e. Come and meet my beautiful wife.

この例で、beautiful はただの「種類」。「私の、そうした種類の妻」というだけのこと。my red penと同じです。これを「指示物をnarrow downしようとする限定」と混同するから、「他の妻はいないのに」といった、制限用法と同種の意味を与えて理解ができなくなってしまうのです。
 指示物をnarrow down するタイプの限定/種類の限定---こうした性質の異なる意味上の働きを「限定・制限」といった、単一の用語に当てはめる不手際が修飾に対する一般化を損なっているのです。私は前者を「説明」とし後者を限定としました。これなら明確に区別できるはずです。

 学校文法には看過できないゆるさがあります。単なるデータ集を用語で飾り形ばかりの理論性を与えようとするからでしょう。
 「制限用法」は、単に説明を加えたいという話し手の意図を、「ほら、よく考えてみると限定してるでしょう」と読みかえることによって体系を損ないました。それでは a guy from Mexicoを「前置詞句の制限用法」と呼んでもいいはずですが、そうした首尾一貫はありません。なぜなら、この用語はbの「非制限用法」と区別する、ただそれだけのつまらない理由のために持ち出されているからです。

b. My wife, who lives in Kyoto, gave me a phone call.

「僕の家内はね、京都に住んでいるんだけど、電話を...」と指示物を制限しているわけではないから「非制限用法」。あのね、この形は単なる「カンマ(あるいはイントネーションによる)割り込み」です。関係詞スペシャルの特別な形でも用法名に価する特殊性を有するわけでもありません。

f. Barbara Chang, the hotel manager, greeted us personally.

bはf と同様に、文の本筋と関係のない「エクストラな情報」がカンマによってねじ込まれているにすぎませんよね。用法を作って区別せずとも、当たり前に説明できる現象です。

 異なる使い方に同種の用語を与え、大きな流れから見れば当たり前の事実に殊更に用法を与える。そうした学校英文法特有の「ゆるさ」がLearnerさんの疑問につながったというわけです。先の名詞節についてと同じコメントを私はもう一度繰り返さなければなりません。

 「学校文法で英語がわかったという人は、いったい何がわかったというのですか?」


 というわけで、Learnerさん、みなさまに自信をもって「一億人の英文法」、お勧めくださいませ。


かしこ。


追伸、
一般の読者の方は、こうしためんどくさい話を気にする必要はまったくありませんよ、もちろん。「安心して「一億人の英文法」で勉強してください」ということを、理屈っぽくお話しただけのことですから。






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